あの桜並木の下で 小品集 前期

えんぷてぃ

それがダメだってことはわかりきってる。
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……。
……貴ちゃん。
……。
……。
……。
横、いい?
……。
……
……ダメ。
……そう……。
……。
……。
……ダメって言ったでしょ。
……そうね。
……どっかいってよ。
……気が済んだらね。
……。
……。
……。
……。
……押さえなきゃって、思ってるんだけどね。
……。
……。
……いいんじゃない?
……んー?
押さえなくても。
……ヤなんだよ。
……そうね。
……ホントにヤなんだよ。
知ってるわ。
……そう……。
エンプティになっちゃうからね。
……。
でも……。
……。
それが、貴女だから。
……。
毒は、溜めてはいけないのよ。
……特に貴女は。
……。
そうやって、空になるまで出し切って。
そして次のエネルギーを得るのが貴女。
……。
私には、できないことだから。
……羨ましいと、思っているのよ。
……。
……。
……ごめんなさい。
……。
……。
……。
……。
……もちょっと……
……。
……ここにいてよ。
……いいの?
……嫌だけど…………いい……。
(貴子の横にそっとまた座って、そろりと、頭を撫でる)
(撫でられるままに、ぴくりとも動かない)
……。
……。
……。
(やがて、寝息が聞こえ始める)
……猫っ毛…………おやすみ、貴ちゃん。

 怒りはエネルギーをごっそり持って行ってしまう。
 分かっちゃいるけど、怒らずにいられないのはなんでだろうか。
 できれば怒らずに。
 感情に振り回されずに。
 平穏な日々を送りたいと、貴子はいつも思っている。

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