へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

『マリみて』二次創作 駄文。

月食

月食 本文

 紅(あか)い月が、あまりにきれいで――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お。
ずいぶん明るくなってきたんだね。
……休憩?
んにゃ。今終わったとこ。 ごめんね、一緒に見られなくてさー。
……まったくよ。貴女がちゃんとしておかないから。
しーましぇん。
言葉に心がこもってないわね。
……照れ隠しなんでございますよ。
あらそう?
私だって、一緒に見たかったんだかんね。
せっかくの天体ショーだったのにね。
見たのは結局、ほぼ満月の状態だけかー。
お月見だと思ったら? 実際、満月だったんだし。
……ということで、お団子いる?
お? あるの?
ええ。ひとりでぼーっと見ているのもなんだったから。
あらもったいない。
ちゃんと肝心なところはしっかり見たわよ。
さすが、ミス・パーフェクト。
……ちょっと。
へへへ。
あ、じゃぁ、お茶は私が淹れてあげる。
何が良い?
そうね、寒いから焙じ茶がいいわね。
じゃ、さっそく淹れてきまーっす!!
部屋入って、暖まっといてよ。
はいはい。お願いね。
あ、お団子は戸棚に入れてあるから。
ほいほーい!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
はーい、おまたっせー!! ……て、なにしてんの? 今から仕事?
いいえ。
だーって、パソコンなんか開いてー。
ふふふ。
ちょっと時間かかるわ。先に一杯いただいて良いかしら?
ああ、はいはい。
ワタクシが心をこめて淹れた、愛溢れる、あったかい焙じ茶でーっす!
ちゃんとお湯湧かすとこから始めたんだからね!
……で、しょうね。
む。
それを期待してお願いしたんだもの。
……。
……変な顔。
どーせ。はい、お茶。
ありがとう。……ん、おいし。
そりゃーもう――
貴女が愛を込めて淹れてくれたんだものね。
……そのとおり、です。
あ、終わったらしいわ。
はい?
じゃ、私から貴女に、心をこめて。
……これで二人で見られるかしら?
え……これって……。
ネットでライブ中継があってたの。それをね。
録画、したの?
ええ。
数日前に、この観測所が中継テストをしてるっていうのを、人から教わってね。
貴女、明日が〆切だったし、もしかしたら……て思って。
どうやって録画したの?
私だって、調べたらやり方くらい分かります。
……て、一番楽な方法をとったのだけど。
はい?
簡単で安いソフトをね。
買ったんだ。
ええ。でも、音声録音まではすぐに方法が分からなくて、結局無音なのよ、この録画。
や。それがいい。へんな中継アナウンスとか入ると、こんなの興ざめだよ。
今から二人っきりでみるんだもん。
そんなわけで、今から月食見、しましょ?
お団子食べながら。
うん……あ、なんか泣けてきた。
ちょ、ちょっと……。
……ありがとぉ。
いいから、ほら。
お団子もちょうだい。
そだ! 電気消そう。
そしたらもっと雰囲気出るよ、きっと!!
……ええ、そうね。そうしましょうか。
暖房は……それはやめるか。寒いもんね。
あ、でも少し温度下げ気味にしていい? 綿毛布持ってきていい?
はいはい。お好きになさい。
うん。すぐ用意してくる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
……用意はいいのかしら?。
うん。お茶の追加おっけー、団子おっけー、綿毛布もおっけー。いつでもおっけー!
じゃ……。
あ、待って待って。一緒にスタートボタン押そう。
クリックするだけじゃないの。
じゃ、上から手を添えさせてよ。
……はいはい。
では……
すたーとぉ……
拍手送信フォーム
Content design of reference source : PHP Labo