バレンタイン2011

バレンタイン2011　本文

よーこ。これあげるー。

……。

なに？

いえ、今年は事前にぎゃんぎゃん言わないなーと思ったら、こういうこと？

ひどい。
まー、たまにはいいじゃない。目先が変わって。

買ってきたのね？

作っても良かったんだけど、それだとバレちゃうし。

人には手作りを強請るクセに。

お菓子は苦手だなー。ラフに作れないから。

化学実験に近いわね。

そーそー。分量とかいろんなことをきっちりしないといけないから、面倒。

面倒……ね。言うほど苦手じゃないでしょうに。

でもさ、失敗して蓉子にヘンなものを食べさせる方が嫌。

そういうことにしておきましょうか。

なんだよー。

ふふ……そうむくれないで。
……ありがとう。とても嬉しいわ。

へへへ……。

……で、私から……はい。

お。……えへへへ……さんきゅー。

今年は手作りじゃなくて、ごめんなさいね。

ううん。……ふふふ。
恒例行事みたいなものだけど、嬉しいねぇ。

……そうね。

……あれ、もう開けるの？

せっかくだもの。

じゃぁ、コーヒー淹れてくる。
おやつにしよう。

夜のおやつは太るから避けたいのではなくて？

今日は特別。たまにはこんな日もあっていいよ。

章間破線

おまたせー。今日のコーヒーは、チョコレートに合うよう、やや深入りのロースト豆にしてみましたー。

ありがとう。

実はさ、最後の豆だったりします。

そうなの？

うん。

半月前に買った豆が、奇しくも今日で終わりですよ。

ん？

この豆ねー、言ってなかったけど、「ヴァレンタイン」って名前だったの。

へぇ。

言っちゃうとさー、強請っているみたいじゃない？

変なとことには気を回すのね。

季節限定って好きなのよね。一応その季節に合った配合やローストにしてあったりするし、
少量生産だから、豆自体も新しかったりするし。

なるほど。

買う時さー、これってどうなの？　……って思ったんだけど、まぁ話のネタにはなるかなって
買って飲んでみたら、あんがい点てやすいし味もクセがないしで、美味しかったよ。
もう一回買っても良かったけど、今日店に行ったら、さすがになくなってた。

私も何度か飲んだ？

飲んだよー。「すっきりした味で美味しい」って言ってたじゃない。

なるほど、あの豆ね。

そーです。あの豆です。

……。

……あら、かわいい。

へへ。

貴女じゃないわよ。

わかってます。良かった、蓉子が気にってくれて。

貴女って、本当に女の子が好きなものを的確に選ぶわよね？

女の子じゃなくて、蓉子さんの好きなものを的確に選ぶんですっ！

……うん。ありがと。

お。
……えっと……わ、私も蓉子のチョコ、食べようかなっ。

……。

……へーぇ？　なんか蓉子らしいやー。

……。

いっただっっきまーっすー。……んー、美味いっっ！！
さすが蓉子さん、私の好みをしっかり押さえてますね……って、よーこ？

……。

え……と……よっこ、さん？

……。

な、なんで真っ赤になってるのかなー。

……。

……げ。……ま、ズイ。
よーこ。大丈夫？　おーい、よーこー。

……うふふふ……。

げ。

うふふふふ……せーい、これ、すごくおいしいー。

そ、そう？　……あ、こら。
全部食べるのは止して。

コーヒーもすごくおいしー。

そ、そう？　それは嬉しいな……って、こらこらこら。
だーめ、コレは封印！！

なんでー？　いいじゃなーい。
せいのいじわるぅ～……

だめ！　蓉子が食べるには、アルコール度数が高すぎ……って……

いじわるするこは、こうしちゃうから～～……

ま、まって、まってよーこ……あ、あ、あ………っぎゃー！！！

『マリみて』二次創作 駄文。