雪の日。
雪の日。本文
……あ。
					なぁに?
					静かだと思ったら。
					ぁん?
					外。
					はい?
					雪。
					あらま。
					積もってる。
					まじ? ……おー。ホントだホントだ。
					これじゃ、出掛けられないわ。
					まーいいじゃん。
					良くない。
					んー。
					せっかく、お互いのオフが重なったのに。
					私は別に。蓉子と一緒にいれたらいいし。
家だろうが外だろうが、関係ないよ。
					家だろうが外だろうが、関係ないよ。
……映画。
					ん?
					一緒に観たかったのに。
					……じゃ、行く? 電車動いてるでしょ。
					そうね。……でも、もし帰れなくなったら?
					心配性だなぁ。それともそういうシチュエーションを期待してる?
					……冗談ではないのよ?
					どこか適当に泊まればいいじゃん。
ホテルとか。
					ホテルとか。
明日、仕事なのよ。
					……蓉子はそんなに石橋を叩いて渡らないタイプだったっけ?
					え?
					なんか最近、臆病だなって、思う。
					そんなこと……
					んにゃ。ある。なんか……ね。
					……。
					なんて言うか……。こと私が絡んでると、すごく臆病な気がする。
違う?
					違う?
…………違わない。
					素直だね。
					……不安なのよ。
					何が? 私とつき合っているのが?
					そうじゃなくて。そうじゃなくて。
					……。
					……時間が足りないわ。
					何の?
					一緒にいろんな事をしたい、のに。
					それだけ? ……違うでしょ?
					……。
					他人の目が気になる? 同性同士でつき合ってるって知られたら、恐い?
					……!
					……図星?
					ち……違……。
					なんで言い淀むの?
					……。
					図星なんだ。
					……。
					弁解、しないね。
					……そうじゃないの。
					……じゃ、なんなの?
					とにかく、貴女と共有したいの。
					何を?
					いろんなことを。
……そして、貴女を独り占めしたいの。
					……そして、貴女を独り占めしたいの。
……。
					そんな自分が、恐いの。
					……。
私は……蓉子のものだよ。
					私は……蓉子のものだよ。
……。
					私の言葉、信じられない? ……信じられない、よね。今までの悪行が積み重なっちゃってるもの。
					……信じたいわ。信じたいのよ。
					……。
					信じられないのは、私自身。
……ずっとこのまま、貴女のそばにいて良いの?
					……ずっとこのまま、貴女のそばにいて良いの?
……。
					そんなことをふと考えてる自分が嫌なの。
自分で自分をどんどん追いつめて、辛くなっていくの。
そんな自分が嫌なの。
					自分で自分をどんどん追いつめて、辛くなっていくの。
そんな自分が嫌なの。
……。
					……。
					……抱いて良い? ……抱きしめて、良いかな?
					……。
					……。
					…………抱いて。
					ん……。
					……もっと。
					……。
					もっと強く。むしろ壊われるくらいに。抱いて。
					……。
					……。
					……雪、止むといいね。
					……。
					止んだら、映画、観に行こう。
					……。
					でっかいポップコーン食べよ? 二種類の味のヤツ。
					……うん。
					飲み物はコーラで。
					……あまり好きじゃないクセに。
					でも、映画にはコーラなの。
					……ん。手、繋いでくれる?
					映画館で?
					うん。
					もちろん。
……だから雪、止むと良いね。
					……だから雪、止むと良いね。
ええ。
					それまでこうしてて、良い?
					立ったままで?
					疲れたら床に座ればいい。
					……そうね。
					それか、ベッドに座っても良い。
					……ええ。
					……。
					……。
あたたかいわ、聖。
					あたたかいわ、聖。
うん。
					……好きよ。
					……うん。
					愛してる。
					うん。
					雪……
					止むと良いね。
					止まなくても良いわ。
					……。
					このまま貴女と、こうして、いたい……から。
					……。
					……。
					……。
					……狡いなぁ。
……っしょっと。
……。
疲れてるんだよ。……ゆっくりおやすみ。
雪が止むまでは、こうしててあげるから。
					……っしょっと。
……。
疲れてるんだよ。……ゆっくりおやすみ。
雪が止むまでは、こうしててあげるから。
……おやすみ、蓉子。