へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

『マリみて』二次創作 駄文。

歯医者その後 

歯医者その後 本文

 佐藤が歯を抜いてきたよーです。
 シナリオ形式で。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
蓉子がリビングの定位置で、雑誌を読んでいる。
玄関の方で音が聞こえる
(かしゃん……かたん……キィ……ぱたん……)

 

蓉子、雑誌から顔を上げて、リビングとさほど長くない廊下を隔てている扉に目を向ける。
そこから聖が、むっつりと入ってくる。
………。

 

蓉子
おかえりなさい。
どうだった?

 

んー……。

 

蓉子
痛いの?

 

(首を横に振って、自分のほっぺたを指さす)

 

蓉子

 

がーじぇが……ぬぇ……。

 

蓉子
まだ噛んでるの?

 

(無言でうなずく)

 

蓉子
とにかく、着替えてらっしゃい?

 

(無言で頷いて、寝室方面に消える)

 

○同 キッチン。 蓉子
蓉子、お茶を淹れてリビングに戻る。
○同 リビング。
蓉子がリビングに戻ってくると、着替えた聖が自分の定位置に座り込んでいる。
機嫌が良くない。
蓉子はリビングのガラステーブルの上に、聖のカップと自分のカップを
それぞれの位置に置いて、座る。
あぃがと。
(飲む。麻酔のせいで上手く飲めずに、口に含んだ量のほとんどをこぼしてしまう)
う"ー………。(盛大に顔をしかめる)

 

蓉子
お白湯よ。口を湿らす程度にしてね。

 

もーひょっと、早く言てひょひかっか……。

 

蓉子
麻酔、まだ切れてないのね?

 

(頷く)

 

蓉子
そう……。
そんな調子じゃ、夕飯は何にしようかしらね?

 

(なにやら1枚の紙を取り出して、ガラステーブルの上を滑らせるようにして蓉子に渡す)

 

蓉子
……?……ああ、注意書きね。
なになに?
『本日、抜歯をしましたので、次のことに注意してください。』……なるほど。
『1.今噛んでいるガーゼは、2~30分間は噛んだままで、
その後ガーゼは捨ててください。
2.今日はお風呂とお酒は控えてください。』
……じゃ、今日は別々ね。

 

うー!!(それは嫌だとばかりに、首を横にブンブン振る)

 

蓉子
『3.あまり何度もうがいをしないようにして下さい。
4.今日はあまり疲れないようにして早くお休み下さい。』
ほら、こうも書いてあるから、今日は別々に寝ないと。

 

ひょーこひゃん!!

 

蓉子
お薬は指示通りにお飲み下さい。』
お薬、出てるの?

 

んー……(渋々、薬袋を差し出す

 

蓉子
はい。素直でよろしい。……食後30分ね。

 

(頭を抱える)

 

蓉子
『6.食事は、麻酔がきれたら普段どおりで結構です。』ですって。
良かったわね。でも、おうどんくらいにしておきましょうか?

 

ひょーでふね…。

 

蓉子
『出血が止まらなかったり痛み等でご心配な方は一度ご連絡下さい。』
そろそろ良いんじゃないの? ガーゼ。

 

……ん。
(口の中からガーゼをつまみ出し、ティッシュに包んで捨てる)
……うー……気持ち悪い……。

 

蓉子
お白湯、ちょっと口に含んだら?
麻酔をしたところと反対側から飲んだら上手く飲めるわよ?

 

うん……
(蓉子に言われたとおりにカップに口を付けてちょっぴり飲む。今度は上手く飲めたようだ)
よく知ってるわね。

 

蓉子
経験者は語る、よ。

 

なるほど。

 

蓉子
……で、どうだったの? 痛くなかったでしょ?

 

うん。……痛くなかったし、それよりもあっけなくて気が抜けた。

 

蓉子
そう。良かったじゃない。
昔、私が抜歯したときは大変だったもの。

 

そうなんだ。……そうそう……

 

聖、尻のポケットから何やら取り出してテーブルに置く。
テーブルに置かれたのは、ビニールパックに入れられた聖の抜歯した歯。
蓉子
(それを覗き込んで)貰ってきたのね?

 

何かの記念になるかなと思って。

 

蓉子
ふぅ……ん?

 

な、何よ?

 

蓉子
私に見せたかっただけじゃないの?(にや、と目が笑う)

 

………。

 

蓉子
(目だけ笑ったままで聖を見ている)

 

……そのとーりです。(お手上げのポーズ)

 

蓉子
確かに、これだったら簡単に抜けたでしょうね。

 

分かるの?

 

蓉子
(歯根辺りを指さして)ほら、ここ。

 

……?

 

蓉子
歯の根っこがまったく別れてないじゃない。
奥歯はたいてい3~4本に根が別れているのに、
それが閉じて一本化しているから抜けやすかったのだと思うわよ?

 

うん。2,3回左右に動かしたらすんなり抜けた感じがした。
……あんなに気合いを入れて行ってきたのに。

 

蓉子
私の時なんて、根が張りすぎてて2時間近くもかかったあげくに、
結局歯を3つに割って抜いたのよ。
以来懲りて、それまで以上に丁寧に歯を磨くようになったわ(ころころと笑う)

 

……それ、いつのこと?

 

蓉子
高等部の頃よ? 高一の時。

 

えー、気がつかなかった。

 

蓉子
夏休み中のことだもの。

 

あー。なるほど。

 

蓉子
麻酔の方は、どう?

 

んー……まだなんだか腫れた感じ。あまり痛くはないけどね。

 

蓉子
切れたらすぐに分かるわよ。痛くなるもの。

 

えー。それヤだなぁ。

 

蓉子
(薬袋の中を見て)痛み止め、くれなかったのね?

 

いらないかなと思って、断っちゃった。

 

蓉子
知らないわよ? 夜中に熱が出ても。

 

マジですか?

 

蓉子
人によってはね。
首の時の痛み止めが少し残っていたわね。痛みが酷いようだったらそれで代用しましょう。

 

はーい。
ねぇ、蓉子さん。

 

蓉子
何かしら? 聖さん。

 

そろそろお腹が空いてきました。

 

蓉子
麻酔、まだ切れてないでしょう?

 

そーだけど。切れて痛くなったら、、またゴハンどころじゃなくなると思うんだよね。

 

蓉子
だから?

 

その前に食べときたい。

 

蓉子
……熱いものとか、刺激のあるものはダメね。
やっぱりおうどんにしましょう。聖のはぬるめでね。

 

えー! それ、あんまし美味しくないんじゃぁ?

 

蓉子
美味しいように、腕によりをかけて作るわよ?
温泉卵入れてあげる。

 

え? ……えへへへ……。

 

蓉子
じゃ、ちょっと待ってて(立ち上がる)

 

うん♪

 

蓉子
(温泉卵で騙されてくれたわね)

 

蓉子、キッチンに消える。
温泉卵~♪

 

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