へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

武蔵と隼鷹・誤解とアンバランスと桃カステラ

武蔵と隼鷹・誤解とアンバランスと桃カステラ 本文

こら、ちびすけ。
んー?
寝床まで本を持ち込まない。
ん……
隼鷹姐さんと一緒の寝床にいるってぇのに、いい度胸だねぇ。
………。
ぉ?
………。
なんだ? 可愛がって欲しいのか?
は?
そうならそうと、言えばいい。
……オマエ、何言っ……んんっ……
………。
……んふ……くっ……は……
腰が立たなくなるくらい——
く……は……———ぎぎ……
——可愛がっ……――っ!!!
……はぁ……はぁ……はぁっ……くぉンの……ばかちんが!!
………。
のぼすんなよ! ウチゃな! 無理矢理がいっちばんでぇっ嫌ぇなんタイっっ!!!
人間にゃ逆らえんばってん、そじゃなきゃ話は別タイ。
戦艦やろがなんやろが、容赦せんバイっ!!
………。
こげんごつすっとなら、もう二度と一緒に寝んけんね!
傍に来っとも願い下げタイ!!
………。
はぁ……はぁ……はぁ……
………。
……言いたかこつがあるっちゃろ。言え!
………。
………。
……良か……部屋に戻る……。
あぁ?
もう来ん……。
こら待て。
……戻る……
待てちゃ、なんオメーのほうが泣きそうなんよ。
……そげな顔……
いいや、しちょぉ。
オマエが生まれた時からずーっと見ちょっとやけん。この隼鷹姐さんば見くびんな。
……じゃ――
………。
——わかろうも。
ああ?
………。
……(ため息)……あんなぁ………
………。
………。
わかっ……分かるのはさ、オマエの行動と気持ちがちぐはぐになってんなーって程度の
ことまでだよ。
それはオマエさんだってそうだろ? なぁ。
………。
実際に何を考えてるかとか、何を思ってるかとか、そんなのはね、言ってくんないと分かんない。
ダメだって教えてずっと守ってたのに、今日は寝床に本を持ち込んだ。それを咎めたら無視をした上に碌でもないことをしようとした。
これだけ材料が揃って、さらに不満全開の顔してりゃ、アタシになんか言いたいことがあるのに言えてない、ってことくらいは、すぐに察しがつかぁね。
………。
だから、言いな。
アタシが悪いんだったら、それは謝るし、改善だってしようさ。
でもさ、分かんないままだったら、謝ることもあらためることもできないじゃないか。
………。
ウチ、間違ったこつ言いよぉかね?
(首を横に振る)
……ふむ(首をかしげる)
……昼……
ん?
その……提督と……
あん? タヌキのほう?
そうじゃなくて……その……
んん?
その……隼鷹の……
ああ、カワチ提督ね。彼女がなに?
笑ってた。
はい?
……隼鷹は……人間が好きじゃないのだと、ずっと思ってた……。
………。
……のに……その……。
へ?
ん……。……こう……(抱きかかえる仕草をする)
あ。あー~~、あれ……か。
………。
……見てたのね。
(うなずく)
あー……それは、失礼。
人間に、あんなふうに……笑うん……だな。
まーちょっとアレはハメを外しすぎたねぇ。
お前の提督だからな。
あん?
好きにすればいい。
は?
だけど……
ちょっと待て。待て。待て。
………。
ん~~……分かった。
まずは、謝る。
………。
オマエさんが見てようと見てなかろうと、誤解を招くようなことをしたからね。
それは謝る。(深く頭を垂れて)すまん、悪かった。
………。
その上で、はっきり言っとく。
アタシとカワチ提督のあいだに、やましいことはひとっつもない。
………。
あんね、アタシと提督。お互いに、同じポリシーがあんの。
ポリシー?
そ。ま、偶然同じだったってだけの話なんだけどねぇ。
だから、カワチさんは信用できるワケ。ある意味、タヌキ司令よりも信用してんの。
……で、その共通ポリシーってヤツなんだけどね、聞きたい?
ん。
『パートナーがいる相手は願い下げ』
……——。
提督曰く『人妻は守備範囲外』あるいは『円満な関係を壊す趣味はない』……だとさ。
――わかった?
……う……うむ……。
提督のお相手は妙高型の長女だかんね。もっとも、『ベッドの中へのご招待は、まだだよ』……とはおっしゃってますが。さぁて、どうだろねー。あんがいホントかもしんないけどねえ。
なぜ、そう思う?
専属艦になってから分かったんだけどさぁ、カワチさん、ああ見えてすんごく真面目な人だよー。軍規に触れることはしなさそう……てのがひとつ。
もひとつは、妙高型の姉妹たち……特に次女が面倒くさいことになりそう。あそこの次女、面白いよねぇ。三女とデキてんのに、長女にものすごく執着してる。
そうなのか。
いわゆる「シスコン」ってヤツだけどねぇ。お姉ちゃん好きすぎて、近づくモノはすべて敵認識。
でもまぁ提督とはいい関係だねぇ。アタシ同様飲み友達っていうか……いや、ありゃ戦友って感じだな。
……カワチさんはヒナセさんとはまた違う方向で、アタシらの運用が上手い人だね。実に実戦向き。ホントはアタシなんかより、オマエさんのほうが、カワチ提督向きなんだろねぇ。
……で、アレは?
あ? ……ああ、アレ?
そう、アレ(抱きかかえる仕草)
アレはねぇ……実は賭けを。
賭け?
そそ。
賭け事は規律違反だな。
そう頭の固いことを言わない。実にたわいのないモノを賭けただけだし?
………。
アタシら艦娘は、人間に似せて造られてっけど、
人間よりも筋肉とかの密度が高いから重いじゃない。
うむ。
…で、業務中にそんな話になりまして。
売り言葉に買い言葉で、アタシを持ち上げることができるできないって話になってさ。
それで、コレなのか(抱き上げる仕草)
そーゆーこと。
ふぅん……。
あ。オマエー。納得してないな。
するとかしないとかって話じゃないだろう。
……で、結果は?
立てなかったけど、持ち上がりはした。
そうか。
そんなにそっぽ向かない。
なに? イヤだった? ……てか、イヤだったのね。
ごめん。ホントにごめん。今後は絶対にしないから。
もういい。
………。
なんだ?
……んにゃ……。
口の端が緩んでる。
そりゃね。
……ふん。
……もー……最後まで話を聞け。
………。
で。賭けは、お互いに勝ったトコと負けたトコがあるから、50:50《フィフティー・フィフティー》ってことになってさ……よいしょ……ちょっと待ってな。
………。
えっと、この棚に仕舞っておいたはず……あった。
……ホレ。
朝ごはん代わりか夜食で一緒に食べようと思ってさー。
完勝だったら二個とももらえたんだけど、フィフフィフだから、お互い一個ずつ取ったのよ。
………(目が輝く)
懐かしいでしょ? んひー。
……うん。
今日、間宮さんが補給に来たじゃない。
これはカワチさんが、羽黒のために特別に注文してたんだってさ。
それをもらったのか。
そ。だってー、桃の節句じゃん。んで、オマエ今年初節句じゃん。
やーっぱ、それっぽい物があると嬉しくなるじゃない。
………。
ふふふ……。
……武蔵。
ん?
心配せんでよか。アンタが要らんて言うまで、傍におるけん。
……ん?
……うん……
(口づける)
あ……ん………
……起きたら、食べよな。
……うん……ふ……
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