へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

ヒナセと電・台風、そして…

ヒナセと電・台風、そして… 本文

艦これSS『風よ、吹け』のすぐあとのお話。
明石が帰っていったあとに、台風がね、来たんです。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『嵐の夜』
し、司令官さん。すごい風……なのです。
だねぇ。
おうちがとばされたり、しない、のでしょうか……。
んーまぁ大丈夫だとは思うんだけど……こわい?
だ、だいじょうぶ、なのです。
わ! はわわわわわ……なんの、音……なのですか!?
雨だよ。……事前予想以上に強いみたいだなぁ。
司令官さんは、慣れてらっしゃるの、ですか?
まぁね。この時期の、このあたりの台風は、当たり前だからねぇ。
はわー……。
お強いのです。
んにゃー、慣れだよ、慣れ。
生まれた時から、これを毎年経験してればね、慣れます。
特にこの島、本土に行く台風の、通り道上にあるからね。
生まれる……?
あ。わかんないか。
えっと……建造のこと……ですか?
この近くで建造されたのですか?
ふふっ……まぁ、当たらずとも遠からず……ってとこかな……って――
………。
……あ……ありゃりゃ……。
はわ……。
うーん……やっぱ漏ったねぇ。
おうちの中に、雨がふってるのです。
これはちょっとひどいな。どこか剥がれたかな。
ちょっと様子を見てくるよ。デン、怖かったら、押し入れの中に入ってて。
あそこなら柱同士が近いから、いちばん頑丈なトコだし。
……あの……
あ、そうだ。良かったら、布団敷いといてよ。下の段に。
……で、それにくるまってて。
たぶん、体冷え切って戻ってくるから、ぬくぬくにしてくれると嬉しい。
えと…それは……。
今夜は危ないから、一緒に寝よ?
軍紀違反だけど、君と私しかいないから、ま、どちらかが本部で口を滑らせなければ大丈夫でしょ。
はわ……。
……わ…わかりました……なのです。
あの……ケガ……。
………。
うん。大丈夫。
………。
んー……じゃ、これ……これに誓って、無理はしません。
……えと……
はい。
これ、はずしちゃ……。
大丈夫。
逆に、今かけてると邪魔だから。雨で濡れると見づらくなるんだよ。
……てことで、預かってて。
……はい……なので………あ……。
あの……司令官さん……これ……。
やっぱりバレたね。さすがデン。
はわ……。
種明かしはあとで。……行ってくる。
は、はい……。
お気を付けて、なのです。
はい。行ってきます。
------------------------------------------
ただいまー。さむさむっっ!!
デン? デーン?
……お布団の中、なのです。
入れて入れて。
ボイラーが大水かぶっちゃってお湯が使えなかったー。けど、ちゃんと拭いて着替えてきたから……あー、あったかい!
お、おかえり、なさい。
し…司令官さん、コチコチ……なのです。
雨に濡れて風に吹かれたからね。さすがにこの時期でも体感温度が……寒かったぁ。
デンのおかげでお布団ぬっくぬく。ひゃー助かる。
ああ、でも、デンが冷たいね、ごめん。
だ、大丈夫、なのです。少し、缶の圧を上げれば、熱量、大……なのです。
あー、なるほど。
いやはや、マジに助かる。
司令官さん、あの……これ……めがね、お返しするのです。
うん、ありがとう。
これ……
うん。
びっくりしたのです。
度はほぼ入ってないからね。
じゃなくって……。
はい。
前に、事故って、言ってたのです。
うん、そう。
……あ。
ん?
光ってるのです。
……こっち。
ああ。光量調節がうまくできてない時なんかに、漏れちゃうんだよねぇ。
何せポンコツだから。
明るいとこなら人の目だったら分からないんだけど、こう暗いとどうしてもね。
大丈夫、なのですか?
大丈夫。これが痛いとかはないから。たまにこの辺の頭痛がひどいけどね。
あ、でも、今日は大丈夫。デンがこうやって、あっためてくれてるから。
その……いいですか?
なに?
えと……触って……
うん? ……と……。
……きれいなのです。あわーく光ってますのです。
見えてますのですか?
今はきちんとは見えてないよ。
君が預かってくれてたこの、眼鏡と連動してるの。
はわ……。
だから、なのですか。
ん?
司令官さん、たまにすごく遠くが見えてますのです。
ははは……注意してたんだけど、気がついてましたか。
電探装備だったのですね。
厳密に言えば違うけどね。
電探と同じシステムを使ってるのは間違いないかな。
こっちの目は、キミらの目のシステムを使って作られた義眼です。
ただ、左目との情報バランスを、脳みそがうまく処理できなくてね。はじめはまっすぐ歩くこともできなかったの。
訓練してなんとか日常生活には支障が出ない程度にはなったけど、飛行機に仕事として乗るのは無理になったから、飛行科をドロップアウトしたんだよ。
開発部は、戦傷で失明した飛行機乗りをこれでなんとか救済できるようにしたかったみたいなんだけど、そうはならなかったってお話。
……上から命令があったら交換するんだけど、なんだかいいデータが取れなくてさ。
はわ……。
ああ、でも大丈夫。
ここの司令を引き受ける時の条件で、テストのための交換はもうしないって確約したから。
基地を何週間も空けるわけにもいかないからね。
(私が辞めたところで検体は他に何人もいるだろうしね、確実に)
この目を入れた頃から比べたら技術もずいぶん発達してるから、取り替えるたびに調子は良くなってきてるんだけどね。ただ、私ももう四〇に近いし、だんだんと新しい目に慣れるまでのタイムラグが長くなってきててさ。だから、テスト要員としてはそろそろお役御免になる頃でもあるの。だから、ちょうどいいタイミングだったんだよ。
しれ……ヒナコさん。
ん?
………。
んー?
風、まだお強いのです。
だねぇ。すんごい音だ。
怖くない?
大丈夫なのです。
うん。
………。
………。
寝て、起きたら、たぶん通り過ぎてる。
はい、なのです。
……暑くない?
はいなのです。
なのですか。
なのです。
……うん。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『晴れの朝』
んー……。
まさに台風一過な朝だなー。すんごいいい天気。
おはよう、ございます、なのです。
おはよう。
ごめんなさいなのです。
なにが?
ぐっすり寝ちゃったのです。
ははは。いいよいいよ。
あの風音雨音でしっかり眠れるなら、ここで十分にやっていく素質があるよ。
台風はねぇ、とにかく過ぎ去るのを待つしかないからさ。
やるべきことをやったら、あとは体力温存で大人しくしとく。
安全が確保できてるなら、寝るのもアリ。
いざというときに疲れてたら何もできないからね。
はいなのです。
はい。
昨日の夜が、嘘みたいになったのです。
だねぇ。
……そっか。デンはずっと北のほうの任地をぐるぐるしてたんだっけか。
は……はい……なのです。
ああ、違う違う。
それじゃぁ台風は知らないかって思っただけ。
………。
台風が去ったあとは、こうやってすんごく晴れて、カラッと空気も乾燥して、とても過ごしやすい日になるの。
おてんとさまは、台風なんて意地悪なモノを寄越してくるけど、そのあとはいい天気にしてくれてさ、お片付けができるよう、はからってくれるんだよ。
ま、できることなら台風自体、来て欲しくないところだけど、南に住んでる人間は気候がいいせいでのんびりしすぎるところがあるから、こうやって年に数回、それもこの時期に、カミサマが試練を与えて下さってるんだって。
だからこのいい天気は、カミサマが「頑張りましたね」ってくれる、ご褒美らしいよ。
……はわ……?
……て、子供の頃……すんごく小さい頃に、教えてもらったの。
どなたに、ですか?
私のお父さん。
お父さん?
そ。
そうだなぁ……養育艦、みたいな存在だね。
厳密にはかなり違うのだけど。
デンは、自分を育ててくれた艦(ふね)のこと、憶えてる?
(小さく横に首を振る)
暁ちゃんたちと、いっしょだった…ことしか、お、憶えて、ないのです……。
へぇ……。
暁型全員いたの?
あの……暁ちゃんと……えと……
無理に思い出さなくていいよ。ゴメン。
はわ……。
く、くすぐったいのです。
ん。
あの……司令官さんは、ここで建造されたの、ですか?
……昨日も言ったけど、当たらずとも遠からずだねえ。
そしてデンは勘がいいね。
ご、ごめんなさい、なの……です。
怒ってないよ。
……あの山……。
はい、なのです。
あの向こうでね、私は生まれたの。
この島の、反対側。
あっちは個人の所有地だったんだよ。
もう、誰もいないけどね。
はわ……。
このあたりの話は、また今度ね。資材小屋の一つがへしゃげちゃったから、今からそれを中心に片付けないと。
まーなんにせよ、被害が少なくて良かった。下手すると基地自体が吹き飛んじゃうかもって、建てる時に心配してたもの。
だから、明石さんにいろいろ言ってたのですね。
うん。
私がこの島の出身ってことは、オフレコでお願い。
実は妖精たちにも口止めしてんの。
知ってるのはアサカ次長だけ。だから私がここに派遣されたというわけです。
はわ。わかりました、のです。
うん。
じゃ、朝ゴハン食べたら、やりますか。
本部にも被害状況の報告をしないと。
はい、なのです。
あーあ……せっかく綺麗に草取りした土地がぐっしゃぐしゃだ。
畑にできるのはいつのことやらって感じだなぁ。
ひとつひとつ片付けていくのです。
うん。そうだね。その通りだ。
なのです!
拍手送信フォーム
Content design of reference source : PHP Labo