へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

伊勢と日向・去る者、残る者

伊勢と日向・去る者、残る者 本文

ここから見る景色も、今日で見納めかぁ……。
うむ、そうなるな。
『次はどこに行くのか?』って訊かないのね。
ふつうはそう訊くものなのか。……というか、お前の提督の元に戻るのだろう?
ん? ……あっははは……やーっぱアナタは面白いわー。
むぅ。
……分からないから訊いている。
あははは……そう不機嫌な顔しないでよ。
私は……壊れているからな。いろんなことが分からない。
分からないから訊く。それだけのことだ。
だーいじょうぶ。アナタはちゃんと『日向』だよ。
でも、私が今まで会ったどの『日向』よりも面白い。
『日向』は誰も彼もぶっきらぼうだし、大きな声で笑わない。それはアナタも同じ。
そうか。
『ふつう』でもねぇ、訊かないかなぁ『次はどこへ行くのか』なんて。
だって、訊いてもしかたないでしょう。私たちは艦娘なんだから。
どこかへ行って、そこで生きながらえるか、沈むか、解体されて資材になって別の何かに糧にされるか。
うむ。
……私もこの基地で、何隻もの艦を解体し、建造や開発をしてきた。
しかしアレは、いつまで経っても慣れるものではないな。
本部の『明石』が来た時にはやってくれるが、いつもではないしな。
『明石』はすごいよねぇ。どういう精神構造をしてるだろね。
わからん。
ウチに来る『明石』は……特に変なヤツだからな。
ぶっっ!!
……む。
アナタに『変』って言われるなんて、その『明石』も本望でしょうよ。あはははは……。
……そうだと、いいがな。
いつか別の提督のところに行ったら忘れちゃうかもしんないけど、
“アナタ”に会えて楽しかったわよ、日向。
うん?
ここに来たときは「なんだこいつー!?」って、本気で思ったけど?
そうか。
短い間だったけどさー。ひっさびさにお姉ちゃんぶることもできたしさ。
それには閉口したぞ。お前は人の世話を焼きたがりすぎる。
あらー、アナタだから世話焼きたいんだけどねぇ。
その割に、駆逐艦たちの世話も良くしてくれたな。助かった。感謝してる。
……いつかまた、どこかで会えると良いね。
てか、またここに戻ってきたいなあ。いーとこだもん。
おや、ここにずっといるのはイヤなのではなかったか?
……まぁ、いいトコなのは認めるが、ここに来るのはワケありだらけだからな、あまり感心しない。
“卒業”するほうが良いことだ。
いつまでも“卒業”しない艦娘もたくさんいるじゃない。
「できない」から「しない」だけだ。
あえて「していない」のは鳳翔だけだ。あれは提督のお気に入りだから。
『お母さん』だもんねぇ、提督の。
『母』というものがどういったものだったかは全く憶えていないが、鳳翔の手はホッとする。
そういうものなんだろう、提督も。
さて……どうでしょうねぇ。
……あ、いい風……。
……うむ。瑞雲を飛ばすにはいい風だ。
ふふふ……。
(ボーンと明石の霧笛が聞こえる)
……じゃ、お別れだねー。
うむ。寂しくなるな。
今さらそんなこと、言わないでよ、もう。
すまない、気が効かなくて。
日向らしくてね。
そうか……。
じゃ、達者でな、姉さん。
………。
……ん?
……ばか……はははは。
ひゅうがのばかー……っはっははは……。
……えっと……
また会おう。どこかの海で。
ええ、それまでアナタも元気でね。
ああ……。
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