へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

ヒナセとカワチ・『小料理おほとり』にて

  

ヒナセとカワチ・『小料理おほとり』にて● 本文

ヒナセ基地には鳳翔さんの小料理屋『おほとり』という名の提督のお夜食処がある。
…食堂の一角に五席のカウンターが設置されてて、ちょっと区切られている。
入口には暖簾なんかも下がってそれっぽい。

この一角を作ったのはヒナセ基地の棟梁・日向。
時間が経つにつれてアレコレ改装されるわ持ち込まれるわで、そこだけちょっとした小料理屋風になっていく。
この頃には誰が持ち込んだか、信楽焼のタヌキなんかも鎮座してて、もういろいろカオス。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんばんは……と……お取り込み中だったかな?
んにゃ、べつに。
いらっしゃいませ。いつものでよろしいですか?
ええ、お願いします。 ……横、いい?
イヤだつっても、座るじゃない。
今日はまだ、ご機嫌斜めで。
いつものことでしょ。
提督、今日ちょっといいものが入ったんですけど、いかがなさいます?
もしかして、これ?(隣の小鉢を指さし)
ええ。
じゃ、頂こうかな。
めずらしいですね、ここでこれが手に入るなんて。
武蔵が遠征帰りに見つけて、獲ってきたんだってさ。
あんなに大量に獲ってきて、どうすんだろね。
そんなに?
(うなずく)
明石が今、工房で水温調整器を作ってるよ。
……飼うのか。
食べ尽くすまではね。
(カワチの前に小鉢と銚子を置きながら)
駆逐艦や軽巡の子たちはあまり好みませんから。
まぁ、お子さま向けの食べ物じゃないですね。
響とかは食べるけどね。電(デン)は嫌いだね。文月ちゃんも。
重巡以上なら口にしますけど、それでも食べない子もおりますし。
大和さんは苦手なようです。……実は、武蔵さんも。
ありゃま。 だのに獲ってきたのか。
隼鷹が好きなんだってさ。
ああ、なるほど。
でも叱られてた。獲りすぎだって。
どのくらい獲ってきたかはあとで拝見するとして、隼鷹がそこまで叱るなら、よほどだな。
あそこも、なかなか親子関係が抜けないねぇ。
隼鷹が武蔵を子供扱いするからね。
……ま、いいんじゃないか? 恋愛沙汰は、基本的にいい気はしてないんだろう?
そうでもないよ。実に興味深い。
ほう。
どのみち、お前さんがもしここから異動なんてコトになったら、隼鷹は置いていくんでしょ?
さてねぇ。君は武蔵をずっと手元に置いておくつもりなのかい?
………。
お待たせしました。
やぁ、これは美味そうですね。
美味そうなんじゃない。美味いんです。
(肩をすくめて)これはこれは、ごちそうさま。
……なによ?
別に。意味通りの言葉だが?
……なんにせよ、君がきちんと食べるのは、この美味さがあるからなんだな。
鳳翔さんが来る前も、きちんと食べてましたよ。
電(いなづま)の手前ね。
………。
提督……ヒナコさん、デザートはいかがですか?
頂きます。
はい。
………。
………。
……カワチ。
なんだい?
ちょっとだけいい?
なに?
昔話。
……どうぞ?
学生のときさ
うん。
どうしてあんなコトになったのかなぁって。
うん。
ときどき考えてたんだよね。
……相変わらず気が長いな、君は。
まぁね。
そこは否定して欲しいところだね。
まぁ、基本的には私が悪かったんだろうなって思ってる。
……ふむ。
でもね、今日、ふと……さ、とあることに思い至ってしまって。
………。
……なんて言ったらいいかな。
……そう、『もしかしたら私は、とんでもない被害妄想に巻き込まれたのではないだろうか』って。
………。
それを思った自分が、怖くなってね。
それで機嫌悪く晩ご飯をここで食べてるわけだね。
………。
図星だからといって、睨まない。
………。
私はその答えを知っている。
ん。
君に話すこともできる。
うん。
……で、君はどうしたい?
答えを聞くか?
………。
教官が亡くなったのは、君のせいじゃない。それは分かっているな。
………。
教官が教官を辞めたのは、君のせいだが。
………。
だが、それも君自身のせいじゃない。
ヒナセ大尉が君に一目惚れしたせいだよ。
……恥ずかしいから、そこはカットしようよ。
前線に出てればいつも思い知らされる。
実際に戦っているのは艦娘たちだが、艦に座乗している限り、一つ間違えば、自分も彼女らと一緒に沈む運命にあるのだと。
それは飛行機乗りもそうだろう?
まぁ、実際に飛行機乗りと提督では、あり方がに妙に違うのだけどね。
まぁな。
だが、妖精たちがいるのに、人は何故、戦場になっている空を飛びたがる?
それは君がいちばんよく知っていると私は思っているんだが、それは買いかぶりかな?
買いかぶりかもしれないねぇ。
もう私が空を飛べなくなってから、どれくらいが経つと思ってるんだい?
……話がずいぶんとそれたな。
本題に戻ろう。
さっき言ったように、今すぐにでも、私は答えを君に言える。
第三者としてすべてを見ていたからな。
……さ、どうする?
………。
………。
……いや……いいよ。
今さら正解を知ったところで、どうなるというんだ?
そうだな。
あれからずいぶんと時間が経ってるからな。
経ちすぎてるよ。だから……いい。
それが賢明だな。
……うん。
納得していないから、そうやって時折思い出すのだろうが……
それもかなり強烈にね。
それはよくないな。
しかし、忘れてしまえとも、私は言わないよ。
これから先も、納得するまで、何度となく思い出すだろう。
たぶんね。
……ま、愚痴を聞くくらいなら朝飯前だから、どうしようもなくなったら、言えばいい。
………。
副司令というのは、そういう立場にある。
……なるほど。
わかった。その通りにさせてもらうよ。
うむ。ところで今夜、このあとデートでもど――
ヤメテ下さい。私はお前さんと違って、同性はお断りなの。
人妻だものな、止めておこう。
そうそう、ヒナセ教官が化けてでてくるから。
愛されてるねぇ。
……うん……それだけは自信があるかなぁ。
なんで彼は私のことがあんなに好きだったのか、未だに分からないんだけどね。
……ごちそうさま。
お待たせしました。どうぞ……。
……すみません、気を遣わせちゃいましたね。
いえ、準備に手間がかかりましたので。
さ、冷めないうちに召し上がって下さい。
……はい。
(一口食べて、にこ…と微笑む)
鳳翔さん、私にもあとで、これ、いただけます?
ええ、ちゃんと用意してありますよ。
妙高さんたちへのお土産分も。
これはかたじけない。
……あいかわらず、ハーレムに棲んでるねぇ。
なに、大事な秘書艦とその妹たちさ。
秘書艦だったら、隼鷹もそうでしょうが。平等に扱ってやってよね。
隼鷹は好き勝手にさせておくのがいちばんだよ。
武蔵の母親気分が抜けないのに、武蔵に夢中だ。あれも拗れてる。
まぁたしかに。
……サンプルとしては、興味深い。
……やれやれ。いつも言ってるが――
――『人間あつかいするのかモノあつかいにするのか、どっちかにしろ』
その通りだ。……だが、観察対象としては、実に面白いのは認めるよ。
でしょ。
うむ。
……鳳翔さん、おかわりあります?
はい。ありますよ、すぐ持って来ましょうね。
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